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意外だったのは、思ったよりもトマトソースの割合が少なかったこと。「流通が行き届いた現在でこそ、トマトは全国で手に入りますけれど、ひと昔前は、北のこの地方でトマトは希少な食材だったんですよ。料理に使うトマトの量が控えめなのはそのせいでしょうね。ですが、トマトソースなしのラグーもまたあり得ません……」穏やかながら確信に満ちたルカの言葉には説得力がありました。確かに、この地方の郷土料理といえばハムやチーズ、肉が主役で、トマトは脇役の印象。けれどもちろん、名脇役なしには主役も引き立ちません。「ラグーは、スパゲティよりも、タリアテッレ(平麺。できれば手打ち)と和えるのが一般的ですね。ラザニアに使ってもOK。冷蔵庫なら1週間、冷凍すれば1カ月は持ちます。僕らは昼食夕食を問わず、週に2回はこのソースを食べています」
都会の喧噪を離れ、ゆったりとした自然に囲まれて味わうラグーは格別でした。 |
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市街に戻って、街を散策するうち偶然に見つけたリストランテ「Franco Rossi」は、オーナーのフランコさんの人柄がそのまま映し出された空間でした。決して広くはありませんが居心地の良い店内には、あでやかな花や趣味の良い絵画が華麗に飾りつけられています。サービス精神旺盛で存在感たっぷりのフランコさんは、まるで店を舞台に、訪れる人たちに夢を見せてくれる役者のようです。ここでも、シェフにラグー作りを見せてもらいました。ルカのレシピと違うのは、豚肉を使わないこと、オリーブオイルの代わりにラードを使うこと、煮込みながら「ブロード」(肉からとっただし汁)を加えること、赤でなく白ワインを加えることなどです。年配のシェフにいわせると「白ワインのほうが軽く、色も浅くさっぱり仕上がるほうが良いから」だそう。それでも、「パッサータ」を少しですが必ず加える点は変わりません。やっぱり、トマトたっぷりのソースというよりは、ほんのりトマトの風味香るソースなのです。
北のトマトはいわば「隠し味」的な役割を演じていました。では、実際にトマトの穫れる南の地方では、どんなトマト料理が味わえるのでしょう。空路、ローマを目指します……。 |
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| タリアテッレも自家製。ソースと絶妙の相性。 |
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| 約30分ごとに、ブロードを少々加えながら煮詰めていくとできあがり。 |
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