春の象徴といえば「桜」ですね。3月下旬から4月にかけて開花し、お花見で春を満喫する方も多いことでしょう。お花見よりも先に桜を楽しめるのが「桜餅」です。桜餅は、関東では小麦粉の生地を焼いてこしあんを包んだもの、関西では道明寺粉を使った餅で小豆あんを包んだものです。いずれも、塩漬けにした桜の葉を巻いた和菓子で、この桜の葉が春の香りを楽しませてくれます。
桜の葉は生のままでは香りがしません。塩漬けにして糖分が分解されることによって、クマリンという成分が生成され、これが独特の甘い香りを放つのです。桜餅には大島桜の葉が使われています。それは、葉が柔らかくて食べやすく、クマリンがより多く含まれているからです。
桜餅が誕生したのは江戸時代。東京の向島・長命寺の門番をしていた山本新六が、隅田川の桜の落ち葉掃除に悩まされ、落ち葉を何かに使えないものかと考え出したのが、桜餅だそうです。桜の葉で包むことによって、桜の香りが楽しめ、塩味があんの甘さを引き立ててくれます。また、クマリンには抗菌作用もあり、桜の葉で餅の乾燥を防ぐこともできます。落ち葉掃除から、日本の四季を象徴するお菓子が生み出されたというわけですね。