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野菜は肉や魚と違って、その旨みは淡く、おだやかです。常日頃、動物性の旨みに慣れ親しんでいる舌には少し物足りなかったり、単調に感じられたりしてしまうのでは?と思われがちですが、実は非常にバラエティに富んでいます。
精進料理の基本は、「五味・五法・五色」。「五味」は「辛・酸・甘・苦・塩」、「五法」は「生・煮る・焼く・揚げる・蒸す」、「五色」は食材の彩りのことで「青・黄・赤・白・黒」。これらをさまざまに組み合わせて、素材の持ち味を活かすのが精進料理。
「曹洞宗では五味に『淡(たん)』を加えて六味と言われています。『淡』とは素材そのものの味わいのこと。野菜に味をつけようとするから、単調になる。素材そのものの味を素直に活かせばいいんです。また、だしにこだわる人がいますが、私はあまりこだわりません。だしの風味が強いとせっかくの野菜の持ち味が消されて、みな同じ味になってしまう。極端なことを言えば、おいしい水があればだしはいりません。水だけのほうが野菜の味が素直に生きます。以前、おひたしをだしと水とで作って比べたことがありましたが、水で作ったほうが野菜の味が引き立っていましたね。それから、塩はぜひ自然塩を使うことです。水と塩、これが野菜の味を活かす基本で、あとは砂糖やしょうゆで変化をつけたり、バランスをとってあげればいい」
野菜そのものの味を活かす。そうおっしゃる小金山老師に、トマトを使った精進料理をいくつかご紹介していただきました。トマトは一般的には精進料理にあまり使われない食材ですが、グルタミン酸などの旨み成分が豊富で色あいも鮮やか。その持ち味をどう活かすのでしょうか。
「生のトマトに塩をかけて食べるのが本当は一番おいしいのでしょうが、煮たり、揚げたりすることでまた違った味わいが楽しめます。精進煮物は野菜ごとに味つけを変えています。トマトは少ししょうゆ味をきかせて、しめじは甘めに。アスパラはしょうゆを加えずに色あいを活かします。串揚げは、旬のズッキーニや小芋を合わせると、色あいもきれいですし、食感に変化が生まれますね。ご紹介した料理の調味料の分量はあくまで目安ですので、素材の状態や、自分の好みに合わせてお好きなように味つけしてください」
どの料理も複雑な工程や特別な材料はありません。これからの季節、さっぱりとしたトマトの精進料理を食卓に並べてみてはいかがですか?
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