案内されたダイニングキッチンに入ると、すでに材料が切りそろえられ、鍋からはほのかにいい匂いがただよっています。ドイツの家庭料理を、とリクエストしていたのですが、果たしてどんなお料理なのでしょうか?
「今日作ってるのは牛肉とキャベツとトマトのスープ。野菜たっぷりで栄養満点です。本当は牛の胸肉を使うのだけど、手に入らなかったから今日はもも肉で。日本では肉の部位のバリエーションが少ないですね。でも他はたいてい手に入ります。ドイツのハムやソーセージもいろんな種類があるし、パンは特においしい。ワインはちょっと高いけどね…」
初対面ながら、いろいろと気さくに話してくれるヤコブさん。ドイツの食事情についても語ってくれました。
「昔のドイツ人の食事は、キャベツと肉がほとんどでした。でも最近は変わりましたね。健康面や、グルメ的な観点からも、食に対してみんな関心が高くなっています。料理番組も毎日のようにやっていて、イタリアやトルコ、スペインなどのスタイルを取り入れた料理が増えています」
ふだんから料理をされるというだけあって、おしゃべりをしている間にも手際よく料理は完成。クラッシックなドイツ家庭料理の本から選んで作っていただいた一品で、煮込みに少し時間がかかりますが、作り方はシンプルです。まず、鍋に1.5リットルのお湯を沸かし、牛肉(塊。300g)をゆでます。皮付きのまま半分に切ったたまねぎを焦げ目がつくまでソテーして鍋に加えます。ローリエの葉、塩と粒こしょう(各大さじ1)も鍋に加え弱火で、1〜1.5時間ほど煮込みます。別の鍋で、角切りにしたパンチェッタ(50g)をラード大さじ1で炒め、香りが出たら刻んだキャベツ(1/2個)とポロねぎ(1/2本)を加えて炒め合わせます。カゴメトマトペーストミニパック(2袋)、角切りにしたビーツ(1缶)を加え、ビーツの缶汁と牛肉のゆで汁を少しずつ加えながら煮込みます。ひと口大に切り分けた牛肉を加え、仕上げに、ワインビネガー(赤でも白でも。大さじ3)、砂糖、塩、こしょう各少々で味つけして、食べるときにサワークリームを好みの量落とします。
また、カイエンペッパーを少々加えても、ひと味違ったおいしさが楽しめます。
ドイツ料理らしさのポイントはワインビネガー。ドイツ料理にはビネガーを使った料理がたくさんありますが、ビネガーの酸味が肉や野菜の旨味を引き立て、ドイツ人好みのさっぱりとした味わいにしてくれるのだそう。
「ドイツ料理は地方料理。どの地方にも同じような料理があるけど、ちょっとずつ違っています。例えば僕の出身地のケルンなら、ザワーブラーテン(マリネした牛肉の蒸し煮)や、じゃがいものクネーデル(お団子)、アップルコンポートなどが有名です。ケルンはビールもおいしいので、料理にもよくビールを使いますね。ドイツを訪れたら、ぜひその土地のビアパブやワインパブへ足を運んでみてください。そうした地域性が楽しめますよ」